約 3,346,833 件
https://w.atwiki.jp/meidaibungei/pages/79.html
2011年06月12日(日)01時26分 - K Get/Lost 世界を手に入れた男の話をしよう。 その男は幼いころから地図が好きだった。地元の地図から世界地図まで様々な縮尺のものを、日がな一日飽きもせずに見つめていた。行ったこともない土地を地図上で冒険することで、まるで本当にその土地に旅したような気分になれた。路線図や旅行ガイドなどももちろん好きだったので、どのようにその土地まで行くか、何をお土産に買って帰るかまで考えたりしていた。 一人で外出をするようになると、近所を歩きながら、家の周りの地図を自作していった。そして家に帰って、自分の移動経路を地図の上で際限しようとして見るのだ。少し方向音痴の気があったので、しょっちゅう迷子になってしまった男は、地図の上でもしばしば迷子になっていたが、地図の完成とともに、迷子になってもそれを頼りに家に帰ることができるようになっていった。このようにして男の地図に対する心酔はますます強くなっていった。 理想の地図にするために、男はその地図に様々な付加情報を書きくわえていった。それが次第に複雑になるにつれ、このやり方では読みにくくなってしまうことに気付いたので、今度は目的別に何枚も地図を作ることを覚えた。そして今まで作ったものをリュックサックに詰め、ノートと筆記具を手に、男はまた街をすみからすみまで調べ尽くそうとする。 次第に男は地図が道順以上のものを語りかけてくることに気付きはじめた。地図から、街の中の人や車の移動、商業や工業のための利便性、治安の良しあし、そして街が今後どう発展するのかどう衰退するのかを読み取ることが出来た。男は、今現在の街がどうしてこのような形になったのかを知ろうと古地図を集めはじめ、街の歴史を調べ始めた。一時期は風水にも接近した。「地理」という言葉がもともと「風水」の別名であったことから見たら自然なことだったのだろう。しかし男は、最終的には古来の考え方に敬意を持ちながらも、自らの道を科学的探究に定め、神秘主義からは距離をとっていった。 長じて男は、特に何かの決心をするでもなく、自然な成り行きとして学者になっていた。迷うことなく大学で地理学を専攻し、人文科学自然科学の両方からアプローチした。そんな学生時代、趣味と実益を兼ねて旅行サークルに在籍した男は、最初の頃こそ専門知識があり頼りになると思われていたものの、その狂的な完璧主義と学問的高みへの執着から次第に孤立していってしまった。結果一人旅が多くなっていったが、男はそのことを悩むこともなかった。自分の仕事に役に立つかと思ってサークルに入ってみたものの、中途半端な道連れは邪魔になるだけだった。だから、最後まで彼をかばってくれた女性が自分についてこようとしたときには、彼は自分からそれを断ったのだ。だから、彼女が彼のもとを離れていった時には、少し悲しそうだったが、これは当然でそして仕方のないことだと彼はあきらめるしかなかった。男は自分の仕事にもどり、何かを振り払うように前にもましてそれに打ち込むと、そのようなことも直に忘れてしまった。 それから数年がたった。男は大学院に進み、博士号をとって幾つかの大学を渡り歩いた。優秀な研究者である男は引く手あまたであった。世界中のいくつもの国に居を移す間に、万巻の書を読破し万里の道を踏破した男の地図は、ますます完全なものになっていった。男はこれまで集めたデータを男はコンピュータ上に集め、様々な縮尺で様々な角度から様々な観点により同時に重ね合わせながら見ることができる物にしていった。それにより、一見関係のないデータの間に明確な統計的相関があることが明らかになったことも多々あった。さらに男の地図には時間的情報も入っていって、情報が残っていたかぎりは過去の地形や街並みも再現でき、残っていない部分はそれ以外からできるかぎり補完した。そしてその応用により未来の予想すら立てることが出来た。完璧を期した男は、その膨大な学問的実績を背景にして与えられた膨大な予算と権限を使い、街に住む人々の生活すら、地図の中に反映させていった。男はそれを見て一人悦にいるのであった。 男の仕事は完成に近づいていった。今では一つの研究所に腰を落ち着けた男はしかし、その頃から仕事が面白くなくなってきたことを感じはじめていた。あれほど熱心に打ちこんでいた、物ごころ付いたころから絶え間なくやってきたこの仕事が。そんなとき、男は幼いころ初めて自作した地図を取り出し、未だに覚えているあの頃の冒険の道筋を辿りなおすのだ。そして自分が迷ってしまった部分まで来るたびに、懐かしそうに笑う。もう、道に迷うなんて十年以上経験していないのだ。それどころかここ数年は研究室にこもりきりだ。あまりに完全な地図が手元にあるために、行きたい場所があってもその場所に行く必要すらない。それどころか男はときどき、自分が実際にこの世界を歩いているのか、自分の作った地図の中を歩いているのか分からなくなっている。 もしかしたら、これは新種の道の迷い方なのではないかと、男は思ったりした。 そうして男の念願であった完全な世界地図が完成した。その地図の中には世界の中にある全てがあった。そしてその地図上にある全てのものが、世界の同じ場所に確かにあるのであった。すべての山、すべての川、すべての道、すべての家、すべての記念物、すべての商店、そしてすべての人々。その地図の中には、この世界中のすべての場所で繰り広げられるすべての生活が、同様に繰り広げられていた。たわいもない喜劇と悲劇。出会いと別れ。死、そして誕生。 男は発表の前に、これが自分ひとりだけのおもちゃであるうちに充分遊んでおこうと思って、ちょっとしたことを思いついた。自分を探してみようと思ったのだ。世界中すべての人間が今この瞬間に生まれた赤ん坊まで含めて、すべて入っているデータベースに男は自分の名前やその他の要素を入力して、検索を実行した。するとその地図は、地球の表面からある一点をすぐに選び出す。そこは男の母校の大学の近くだった。 男はいぶかしんだ。そこは随分前に後にした土地であって、今彼が住んでいる土地ではなかった。 何かの間違いだろうと思って詳細表示に変えてみると、やはりどうもおかしい。その男はその土地で結婚し子どもまでいるようだった。当の彼は結婚などしていないし、大学での初恋以外恋らしい恋すらしたことがなかった。 そこで男は気が付いた。その画面に表示された男の妻の名前、それこそ先ほど十年以上ぶりに男が思い出した、その女性の名前であることに。 男はキーボードを叩いてその夫婦の詳細な情報を引き出す。男の職歴は平凡なサラリーマンだ。しかし彼は大学に入るまではどうやら天才児であったらしい。しかし大学ではそれほど目立った成績を残せずに、卒業後大学時代の旅行サークルで出会った女性と結婚する。そしてその女性の大学時代の情報は男の初恋の女性のものと全く同じであった。 男は思い出そうとする。自分も在籍したはずのこのサークルにこのような男は存在したか。男の人並み外れた記憶力はそれにはっきりとNOと言う。たった一つの可能性を除いては。それはこの画面上に表示された平凡な男が彼自身であるという可能性だ。 確かにこの男と彼の大学以前までの人生はありえないほど同じだ。しかし大学以降は全くと言っていいほど似ていない。だからこれは自分であるはずがない、と男は考えた。そのために男は大学を卒業してからの自分の職歴を思い出そうとした。大学院生時代、ポスドク時代、研究者になりたてのころ。 しかし、ある時期から男の記憶はあやふやになる。それ以前のことなら思い出せるのに、ある時期から自分がどこで何をやっていたのかはっきりしない。 そして男はあることに気付く。自分が今いる研究所は一体全体この世界のどこの何という研究所なのだ。今自分はどこに住んでいてどうやってここに通っているのか。どうしてこの研究室には窓がないのか。この壁の向こう、この建物の外にはどんな風景が広がっているのか。気候は。風土は。文化は。言語は。 男はどうしようもなく思考の迷路の中に引きずり込まれるように迷い込んでいくのを感じた。しかもそこから脱出するための地図はないのだ。 この男、このあの女性と幸せそうな家庭を築いているこの男は、どうして大学に入るまでの野心を捨ててしまったのであろうか。それもこの完璧な地図にはちゃんと書いてある。それは完璧な地図など作ることが不可能であることに気付いたからだ。なぜなら完璧な地図は当然その地図自体も中に含んでいなくてはならず、そうすればその地図の中の地図の中にはやはりその地図が入っていなくてはならず、そうしてそれは無限に続く。そんなことは不合理なので、完璧な地図などはそもそも無理なものなのだ、とこの男は気付いたのだ。だから飽くなき学問的野心を捨て、地上の幸福を求めたのだ。 男は呼吸を整えて必死に考えをまとめようとした。これではまだ論理的に言って完璧な地図の不可能性は証明されていないはずだ。その証拠に現に目の前のそれがあるじゃないか。この完全な、完璧な、まるで世界そのもののようだ。 男は安心して、思わず笑ってしまった。簡単なことだ。この地図自体に、その地図のなかで地図がどこにあるのかを調べさせればいい。そうすれば自分がどこにいるのか分かるだろう。男はキーボードを叩いていく。しかしその指は止まってしまう。男は自分の目を、画面上に表示された「検索結果0」からそらす事が出来ない。 おかしい。これはどう考えてもおかしい。この世界地図は完璧なはずだ。世界にあるものはすべてあり、ここにあるものは必ず世界にもある、まるで世界のようなこの世界地図。ここにないということはつまり、それは世界にはないということなのだ。 そこで男は気付いた。真相はいつだって簡単だ。男は理解した。どうしてここが世界のどこなのか分からないのか。 当然だ。 ここは世界の中ではないのだ。 世界は男の目の前にあった。 まるで世界自体であるような世界地図、のように見える本物の世界だ。 あとから考えたら当たり前のことだ。完璧な世界地図とは、世界自体でしかあり得ないのだ。 それが目の前にあるということは、ここは世界の中ではないのだ。 ということは、男は考えた、自分は本当の自分ではないのだ。本当の自分はここにはおらず、あたりまえなこととして自分の世界の中にちゃんといて、そして人並みの幸せを掴むことが出来たのだ。世界がそう言っているのだから、そうに決まっているのだ。 これこそハッピーエンドというものだ、と男は涙を流しながら大笑いした。 これが世界を失った男の物語、私が語ろうとしたまさにそのものだ。 (終) 騙し絵とは何だろうか。 結論から言うと、騙し絵は相反する主張をする部分をそれぞれに連続する多義的な部分でつないだものだ(もちろんこれ以外の騙し絵もたくさんあるが)。だから小説においても同じことをすれば「騙し絵小説」が書ける。 典型的な例は次の物だ。 http //livedoor.2.blogimg.jp/kensaku_gokuraku/imgs/0/a/0ae373a5.gif ここでは真ん中の6本の線が、なんの輪郭線なのかそれだけでは全く分からない「多義的な部分」であり、下の部分がこれは三本の円柱だと主張し、上の部分がこれは二本の四角柱だと主張する。 同じように小説においては冒頭もしくは冒頭付近において「Aである」という主張を持ちこむ。そののち「Aである」とも「Bである」とも読める物をつなげる。ここでAとBとは両立しない物にしておく必要がある。そして最後に「Bである」という主張を盛り込んで最初の部分をひっくり返せば完成である。ね、簡単でしょう? ここが重要なのは、見ている物にはどちらかが正解なのだと決定することはできないことである。 ここがある種の引っ掛け問題を含んだクイズ的な絵、小説で言うなら探偵小説との違いなのだ。これらの物の構造は「Aだと思ったらBだった」であり、基本的に正解がある(さらに言うなら探偵小説がフェアであると主張するためには「Aだなんて一言も言っていないよ」と後で言えるようにしておく必要があるだろう)。しかし騙し絵及び騙し絵的小説においては結局読者は二つの正解の間に宙づりにされて答えには辿りつけない。 探偵小説と騙し絵は両方とも読者を騙すものだが、その騙し方はかなり違う。探偵小説は「残念、正解はこっちだよ!」という騙し方だが、騙し絵は「残念、正解なんてないんだよ!」という騙し方だ。そういう意味で騙し絵の方がひねくれ度が上がっている。 そもそも論でいうならば、そもそも小説は本当のことを書く必要なんかないわけだから、解釈が一つに定まる必要もないし、正解がなくちゃいけないわけではない。しかし僕らは自然に正解があると思って読むし、そう思わないと作品になかなか入り込めない。この点探偵小説は安心だ。読者と作者の間に「真実はいるも一つ!」というルールがいつもある状態だからだ。それに対して騙し絵作者の立場は危うい。彼は正解のないものを、途中までさも正解があるもののように売りつけなくてはいけない。でなくては誰も真面目に相手などしてくれないだろう。 これが探偵小説家が割合リアリズムに気を使わなくてもやっていける割に、騙し絵作者(エッシャー、マグリッド)などが手法において徹底的なリアリストである理由だろう。彼らの絵を見るとき、僕らは彼らの絵に正解など無いことをすでに知っている。それでも彼らの呵責ないリアリズムが、僕らの目をして、僕らの脳をして、正解を求めずにはいられなくする。それによって僕らは、正解がないことをすでに知っている絵に正解がないことを気付くことにより、何回でも眩暈を感じることが出来るのだ。 だから、騙し絵小説を書こうと思っている人は、徹底的なリアリズム描写を鍛えるべきだ。僕にはそのような技術はないから、ここで騙し絵小説の例として出している二つの例も、習作以上の物ではない。より完成度の高い騙し絵小説を書くための参考にしていただければ幸いである(なお後ろの小説は2007年に書いたものの再upである)。 一人だけいる部屋 窓がひとつしかない、どちらかといえば狭い部屋に男が一人いる。たいしたものは何もない部屋だ。部屋はカーテンで二つに仕切られていて、カーテンの男のいる側には椅子が二つ置いてある。その椅子のひとつが机と向かい合っていて、それに男は座っている。そこからでは、カーテンの向こう側は、まったく見えない。机の上で男は、何か書き物をしている。カルテか何かのようなものに、記号や外国語のようなものを書いているようだ。男は白衣を着込んでいる。男は、医者か何かのようだ。男が座っている椅子は背もたれもない、単なる四脚の椅子だが、もうひとつの椅子は背もたれもやわらかそうなクッションもあり、また背もたれを倒して寝椅子にできる、割と豪華なつくりのものだ。催眠療法などに使う椅子だ。するとここは精神科の診療室なのだろうか。それにしては壁や天井などに清潔さが欠けるようにも見える。カーテンの向こう側には、誰の気配も感じられない。 男は無精ひげを生やし、髪の毛はぼさぼさだ。白衣の下に来ているのはどうやらTシャツとジーンズのようだ。カルテに一心に何かを書き込みながら、何かをぶつぶつとつぶやいている。その目はらんらんと輝いている。 どうやら書き終わったようだ。男は顔を上げる。 「ふうっ」 私はカルテを書き終わって、少し息をついた。ちょっと疲れてしまったようだ。メンタルクリニックをはじめたばかりのころは、なかなか患者が来なくてやきもきしたものだが、最近はだんだん忙しくなってきて、休む時間がなくなってきたのは大変だけど、文句は言えない。暇で暇で気が狂いそうなのよりずっとましだ。今のところ、忙しくて気が狂いそうなほどではない。精神科医が気が狂うだの、気楽に使うのは少々不謹慎だろうか。しかし、まあそうめったに重症なやつは来ない。大体が、ちょっとねじが緩んだ程度で、ねじがぶっ飛んでしまったやつはそんなにいない。実際そんなやつらが大挙して押し寄せたら、それこそ私が参っちまう。この商売で成功するコツは、精神科医をカウンセラーかなにかと勘違いしている若い女を呼び寄せて、害のない薬を与えることだ、という話もある。 しかし、学者としての好奇心は今も持ち合わせている。重病患者を診察するときには、もしかしたら何か新しい発見があるのではないかと、今でも少しは期待している。しかし経験から言うと、大概の患者はありきたりだ。パターンどおりの妄想をパターンどおりに披露してくれるのが、ほとんどだ。狂気にたいしてロマンチックな期待を持つのは間違いで、人間なんてのは実際そんなに個性的なものではない。 でもやはり、重病患者には興味がそそられる。しかし重病患者を診ることには危険が付きまとう。彼らは、自分の周りの世界を、すべて彼らの妄想に当てはめて理解する。彼らの妄想にうまく適合しない部分は感動的なほど見事に無視する。そして新たに登場した状況に対して、妄想はそこから取捨選択しながら変化していく。そしてもちろん、医者である私もその妄想の中に組み込まれてしまう。ある患者は、私を神か何かのように信頼し私に任せておけばすべてがうまくいくという、新興宗教のようなことを考える。また別の患者は、私を悪の組織の手先で、この世界を支配しようとする陰謀の片棒を担いでいるのだと信じるのだ。またある患者は、一所懸命になって、自分の妄想を私に納得させようとする。そのとき気をつけるのが、あまり親身にならないことだ。医者のほうが患者に感情移入しすぎると、患者の世界に巻き込まれ、妄想を共有する羽目になるかもしれない。患者とは一定の距離をとること、これが原則だ。それでもやはり、患者の説に魅力を感じてしまったりする。こうして一人椅子に座っていても、この自分の見ている世界が実態のあるものなのかどうか心配に思え、何だが気持ちの悪い浮遊感を感じてしまったりする。自分が医者だというのは単なる私の妄想ではないのか。ここは診察室でもなんでもなく、孤独な男の一人住まいで、そこで私は、日がな一日一人芝居をしているのではないのだろうか。 私はカーテンを開けた。そこに待合用の長いすに一人の男が座っていた。私は、思いに沈んでいたため、次の患者がいることをうっかり失念していたのだ。私は気を取り直して、その男に言った。 「すいません、お待たせしました、お入りください。」 「よろしくお願いします」 男は入ってきた。 「その椅子におかけしてください。はい、どうぞリラックスしてください」 男を患者用の椅子にかけさせ、私はそれに向かい合うように座る。はじめに名前などを確認してから、診察に入った。 「それで、今日は、どのようなご用件で……」 「それがですね、あのう……」 「どうぞ、ご遠慮なさらずに。軽い悩み事でも何でもおっしゃってください」 こちらとしては、ただ単に、おし黙られるのが一番厄介なだけなのだ。 「はい、あの」 「はい、なんですか」 「それが、最近なんだか周りのものが変な風に見えてしまうのです」 「変な風といいますと、具体的にはどのように」 私は、実に興味深そうに続きを促す。診療で最初にやることは医者と患者の間に信頼関係を気づくことだ。こういう場所へ来る患者の中には、今まで誰にも相談できなかったり、相談してもまじめに取り合ってもらえなかったりしてきた人たちもいる。そのような人たちに、ああ、この先生は違う、私の話をちゃんと聞いてくれる、と思わせるのだ。 「まるですべてが、偽物のように見えるのです」 割とありふれた話である。しかし、またか、という風な顔は決してしてはいけない。あくまで親身になって相手の話を聞いている振りをしなければいけない。 「偽物、といいますと?」 「つまり、現実ではないといいましょうか、夢とか、または幻とか、つまりそのような……」 「実体のないようなものだと」 このとき医者はいきなり患者の言うことを否定したりはしない。そんなことをしたら患者はこう思うだろう。結局この医者もほかのやつらと一緒だ。私の話をまじめに考えていない。だから医者はまず、疑っているわけではないことを示すためにこう聞く。 「それはたとえば、どのようなときに、そんな風になりますか」 「別に決まったときがあるわけではなくて、日常生活をしているときでも、何か仕事をしているときでも、関係なしに、そうなります」 「何か前触れのようなものは」 「特に何も。何の前触れもなく突然来ます」 「最近、何か日常生活で変わったことはありましたか」 「いや、別に何もありませんでしたけど……」 「なるほど、ふんふん」 医者が患者の話を聞いてこのように何か考え始めると患者はこう期待する。今までの話で何かわかるのだろうか。もしわかるのなら、今まで誰にも話さなかった、この悩みも解決するのだろうか。この先生なら、信頼してもいいのかもしれない。 医者は言う。 「離人症、と呼ばれる症状とよく似ていますね」 「離人症、ですか」 すると、こう思う。離人症か、なるほど私の症状は離人症だったのか。いや、まだ喜ぶには早すぎるのだが、なんだか少しだけ安心するような気がする。こんなことならもう少し早くここに来ておけばよかったのではないだろうか。 さらに、医者はこう言う。 「もう少し、具体的な話も聞かせてください。偽物という言葉の意味をもうちょっと詳しく話してください。つまり、どのように偽物なのか」 「と言いますと」 「えっとですね、たとえばその、偽物と言うからには、どこか別の場所に本物はあるのかどうか、とか、そのようなことをお話ください」 考えたこともないことを聞くんだな、と患者は考える。しかし言われてみればその通りで、もしこの世界が偽物だったら、どこか別の場所に本物があるのであろうか。自分が普段自然に感じていることを言葉で考え直すのは以外に難しいことだ。自分がどう感じているかなんて普段は当たり前過ぎて、言葉になんか直さないからだ。自分が感じていることは実際にはどういうことなのかを、言葉と格闘しながらこういってみる。 「えっと、夢を見ているときに、これは夢だと気づくときがあると思うんですけど、そのときには、目の前で起こっていることが夢であることはわかっても、じゃあそれに対して現実はどういうものだ、なんてことは決して考えないじゃないですか。現実は相変わらず失われたままです。それと、もしかしたら似ているのかもしれません。いや、似てないかな?まあ、いいです。えっと、そうだなあ、なんだろう。まるで、今見ている景色は自分の頭が勝手に作っているもので、目を開けると、つまり私は目を開けているつもりで目を瞑っているとしてですが、まったく関係ない景色、たとえば、私は布団の中だったり、床の上だったりして、私の目に映るのは孤独な男の一人住まいだったりして。そんな風に感じると、まるで自分の立っている地面がなくなったみたいな、奇妙な浮遊感みたいなものを感じてしまって……」 医者は、興味深そうに私の顔を見ていた。そのときだった、私がまたあの妙な感覚を感じたのは。私をじっと見ている医者の顔が、仮面か何かのように見え始め、周りの景色も、診療室なんかにはとても見えなくなり始めたのだ。突然自分の体が異物の様に思え、浮遊感と沈んでいく感覚を同時に感じた。 しかし、医者はそんな私の変化にはまったく気づいてないようで、なにやら訳知り顔で立ち上がると、こう言った。 「大体わかりました。もちろんまだ知りたいことはたくさんありますが、それはじきにわかることです。それでは催眠療法を試してみたいので、そのまま座っていてください」 医者は、私のいすの背もたれを倒すと、私の枕元にいすを引き寄せて座った。私は相変わらず、奇妙な感覚に襲われたままで、恐怖を感じないことはないのだが、まるで映画を見ているように目の前で起こっていることを黙って見守ることしかできなかった。 「それでは目を瞑ってください。はい、リラックスしてくださいね。体の力を抜いて、するとあなたのまぶたがだんだん重くなっていきます。はい、1,2の3」 馬鹿らしいと思いながらも、私の体は医者の言うとおりになった。私は目を瞑ってしまった。 「まぶたの裏に何が見えますか?」 「な、何も見えませんが」 私は医者の質問に正直に答えた。何も見えなかった。そこは絶対の闇だった。医者の声だけが、なんだか遠くのほうから響いてくる。 「本当に何も見えないんですね」 「はい、本当に何も見えません」 「それは変ですねぇ」 医者の声はますます遠くなる。だんだん聞こえなくなるようだ。 「それでは1,2の3で目をあけてくださいね」 「ちょっと先生、先生どこに」 「はい、1,2の3」 男は目を開けた。そこは窓がひとつしかない、どちらかと言えば狭い部屋だった。男はそこに独りでいた。男は無精ひげを生やし、髪の毛はぼさぼさだ。その男以外の人物がいたような形跡はまったくない。彼は寝椅子に寝転んでいたのだが、今起き上がって、周りを見渡している。部屋はカーテンで仕切られていてその向こう側は見えない。男は立ち上がって、カーテンを思い切り引いた。そこは彼の部屋だった。診療室でもなんでもなく、彼以外には誰もいない部屋だった。彼は周りを再び見渡す。机の上に、何かが書きこめれた紙が置いてある。それを手にとって見てみたが、でたらめな線の乱舞しか認めることはできなかった。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/326.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1291723688/75-78 「落ち着け桐乃! 俺達は兄妹だぞ? 兄妹でんなことできるわけねえだろ!?」 「なんで!? そりゃ結婚はできないかも知れないけどさ、あたしはそれでも構わないし だから……い、いいじゃんセックスぐらいさ!」 「よくねぇよ!!」 まさかの妹からのガチ告白だけでも、心臓一回止まりかけたのに さらにセックスのお誘いまでされた。 な、何を言ってるかわからねーと思うが、俺にもさっぱり分からない。 し、しかし兎に角、俺は今、コイツの兄貴として最後の一線を越えないよう踏ん張るしかない。 「……兄貴は、あたしのこと嫌い?」 な、泣き落としは卑怯だ。女って卑怯だ! 「き、嫌いじゃねぇよ……」 「妹としてじゃなく、女としてだよ?」 「……お前は充分魅力的だって」 「それって客観的に見て? あんたから見て?」 「んな事っ…」 「一番大事なことじゃん! あたしは、三十四億人の男から好きって言われても嬉しくない!」 地球の男性全てかよ!? 「アンタに好きって言われなきゃ……アンタがあたしの身体でムラムラしなきゃ、嬉しくないっ!」 「ムラムラって……わっ、バカ野郎!?」 だわっ?! 抱きつくな! む、胸が当たる…… 「ねえ……あたしの身体じゃ兄貴はダメなの?」 「だっ…ダメな訳ないだろが! め、メチャメチャドキドキしているっての!」 「じゃあいいじゃん。あたしが抱いていいって言ってるんだよ? 据え膳食わぬはっていうしさ」 くそっ、まだ言いやがるか!? そりゃ俺だって男の子だよ、雄だよ、可愛い女の子いたら抱きたいよ! それが妹でもな! けど妹じゃねぇかよ! できるわけねぇだろ! どうコイツを説得したらいいんだよ!? コイツは兄妹で結婚できなくてもセックスはできる、そう主張しているんだが…… 確かに理屈はそうなんだが……その部分じゃ反論できない訳で、じゃあつまりだ、他のリスクって言うと…… 「よくねぇ…よくねぇよ……そりゃお前、確かに兄妹でセックスしちゃいけねぇって法律はないけどな そういうコトってつまり、さ……その、子作りだろ? お前にその重み、背負わせられねぇよ」 「いいよ、一人で育てる。兄貴に迷惑かけない」 「ふざけんな! 万が一、億が一そうなったらお前一人に背負わせさせるかよ!」 ……って、そうじゃねぇだろ、俺!?! 自分で問題提起しておいて、助け船出すってどんなマッチポンプだ!? 「も、もしそうなったら親父やお袋を哀しませるだけじゃねぇ。 生まれてくる子供だって、十字架背負わせてしまうんだぞ?」 「……じゃあ、避妊ちゃんとすればいい? ピルも飲むし、ゴムも付ける。 それなら兄貴、あたしを抱いてくれる?」 そこまでして抱かれたいか、フツー!? ……いや、そうなんだな、そこまで思い詰めてるんだ、コイツは。 「そういう問題じゃ…」 「そういう問題じゃん。リスクの話してんでしょ?」 桐乃は俺のシャツを握りしめて、抑揚なく言った。 突き放されたような、諦めたような……俺の本来の目的で言えば、それで満足すべきなのに なのに、俺はそれが非道く、勘に触った。 「……じゃあ何か、俺はお前を孕ませるのが怖くて手が出せないってのかよ」 「そ、そんな事…」 「俺がシスコンだってお前知ってんだろが。俺がお前を抱きたくないと思うか? ハッ! 抱きたいに決まってるだろ! ああ抱きたいね! 世界一可愛い妹とセックスしたい、変態兄貴だよ、俺は! まいったか!!」 お、おーい……何言っちゃってんの、俺? 「けどよ、俺もお前もまだガキだろうが。その上、兄と妹じゃ、 俺はお前も、お前とのガキにも、全然責任が持てないんだよ! それだけはどうしようもねぇだろうが! だから少し待っとけつーの!!」 「あ、兄貴……」 「ば、バカ、泣くなよ……」 「だって……ビックリしたし。兄貴がそんなにあたしとのこと真剣に考えてくれたなんて」 うん、俺も自分の本音にビックリした。 「わかった。兄貴との子供は我慢する。でもお尻でするなら大丈夫だよね?」 妹の発言にはもっとビックリした。 . 「――ということがあったのです」 手錠を填められた俺は、三つ年下の女の子に絶賛懺悔中。 「……変態」 かつてない程、冷たく、短い言葉があやせたんから発せられましたよ? 絶対零度ハンパじゃねぇ!? 「つまりお兄さんは、ついに桐乃との一線を越えてしまったと」 「越えたといいますか、ギリギリで踏み留まってるといいますか。 アウトとセーフの間、ちょうとセウトみたいな……」 「アウトです」 ですよねー。むしろ初体験がアナルセックスって道踏み外してますよねー 「お兄さん、埋められる場所ぐらいは選ばせてあげますよ?」 埋められるのは確定かよ!? 「……はぁ。桐乃の様子がおかしいから、何かあったとは思ってましたけど まさか、お兄さんがここまで節操の無い変態だとは思いませんでした。犬畜生以下ですね」 「面目ない……つーか、アイツそんなに様子がおかしかったの?」 「常時、頭に花が咲いてます。そんな状態が1週間も続けば私じゃなくてもおかしいと感じませんか? それで桐乃を呼び出して、問い詰めたら……揉み合いになって……それで……桐乃の、下着の中に……」 ゴトン、と全身を真っ赤にしたあやせが、床にあるモノを落とした。 「こんなモノを入れているなんて!!」 「……だって、広げないと挿れるの大変なんだぜ」 と、あやせから目を逸らしつつ、床を転がるピンク色のアナルバイブと再会。 俺と桐乃がアキバのムフフなお店で購入したものである。 「こ、こんなモノを桐乃に入れさせるなんて……お兄さんが、変態なのは分かっていましたけど それでも桐乃の事は一番大事にしてくれる人だと……そう思っていたのにっ!!」 「あ、アイツのこと大事にしてるから挿れてんだぞ!? これのお陰で最近じゃ俺のリヴァイアサンも 軽々飲み込むようになってだなぁ、アイツはもうケツでなきゃ感じられないぐらいに……い、いや、ナンデモアリマセン」 「……お、お兄さんの性欲から桐乃を守る為には……桐乃を守る為なら……」 ひえー…なんかブツブツ言ってるよ!? ああ、終わった。完全に埋められた、俺。 あやせに埋められて生きていく事ができようか? いやできまい(反語) そんなのホリ・タイゾウかホリ・ススム君でもなければ無理だわホイ! 「お兄さん!」 「は、はい!」 「……私が、お兄さんの性欲を受けとめます。お兄さんが私で満足してくれれば、桐乃にはもう手を出せないでしょう?」 「え? あやせの尻に突っ込んじゃっていいの?」 「そんな変態みたいなことできるわけじゃないじゃないですか!!」 そんな変態みたいなことを貴方の親友がしているんですが。実の兄によって。 「じゃ、じゃあまさか、あやせのオマ…」 「死ねぇええぇぇぇえぇぇぇぇ!!」 あ、今日は白か……グフッ 「それ以上破廉恥な事を言ったら、殺しますよ?」 「ごめんないさい、調子に乗りすぎました」 あやせに蹴り飛ばされて、着地しながら土下座に入るこの俺の動き! 世界選手権があったら金メダルは確実だと思うぜ! 「だ、だがな、あやせ……俺はもう桐乃のケツ穴っていう快楽をすでに知ってしまったんだ。 お前が何を考えているかわからねえが、ハンパなもんじゃ俺の性欲はおさまらないぜ!(キラッ」 まあ桐乃にも内緒のラブリーマイエンジェルコレクションには週一でお世話になってるんだけどね! 「う…そ、そうですか、お兄さんはもう変態という枠では収まらないHENTAIですね。 で、でも、あ、アソコはダメです。そんなお兄さんに捧げたら、どんな風に壊されちゃうか想像もつきません!」 お前の中で俺はどんな鬼畜調教師になってるんだよ…… 「じゃあドコの穴に突っ込めばいいんだよ?」 「あ、穴っ!? げ、下品なこと言わないでください!!」 「マン●もア●ルも言っちゃ駄目って言ったのはあやせじゃないか。 ん~……そうだな、でも人間にはもう一個あったな、穴」 「ひっ…」 ……そうガチで怯えられると凹むんですけど。 いや、俺も相当アレなセリフを言ったのは分かってるよ? 分かってるけど、ここ一週間で俺も随分性癖を開発されたといいますかね、不可抗力、不可抗力。 「口で抜いてくれ、あやせ!」 「死んでください」 . 「芋づる式ってのは恐ろしいもんがあるよなー」 「何のことでござる?」 沙織が俺の愚息を乳房で挟み、動かしながら訊ねてきた。 俺の部屋で一心不乱にパイズリに勤しむ沙織を見て、なんて爛れた生活もとい性活を送ってるんだろうと思うヤツもいるだろう。 けどな……俺はコイツの密壺の味は知らないんだぜ。つまり沙織は処女なんだ。 結局、あれからあやせと似たような事を他の奴らから受けて、現在に至る。 んで、沙織の場合はパイズリ担当。 「んーなんでもねぇよ」 と、沙織の乳首を挿むクリップに結んだ紐を引っ張ってパイズリの速度を調整する。 ふ…馬を自在に操るジョッキーってのはこういうもんなのかね。 「あ、兄貴……綺麗にしてきたよ」 下半身を露出させた桐乃が部屋に入るなり、ケツ穴を広げて見せてきた。 「手で広げなくても、お前のアナルはもう開きっぱなしでバイブで蓋しないとどうにもなんねえだろうが。 つーか、俺が一々チェックしなくても、お前が雑にケツ穴洗う訳がないって分かってんだよ」 大方、俺に菊門見せて興奮しているんだろう。 「ちょっと待て。お前、部屋から体操服持ってこい」 「体操服? どうすんの?」 「沙織に着せる。そんでピチピチムチムチの沙織の胸マンコ犯す」 「きょ、京介氏はスペシャルでござる!? リガミリティアの勝利も間違いなしでござるよ!?」 「本当に……ロクでもない事を考えさせたら天下一ね。 一度貴方の頭の中を透視してみたいわ。さぞかし愉快な淫虫が巣くっているのでしょうね」 バスタオルで髪を拭きながら、黒猫がコチラを睨んでくる。 「そう誉めるなよ。またお前の髪で扱いて欲しくなるだろ?」 「洗ってきたばかりなのに冗談じゃないわ!」 「いや、濡れた髪の感触はそれはそれで……それに、お前なんか興奮してね?」 「それは、貴方の妹がお風呂場で……その、不浄の穴を洗うだけで一度いたしたからよ」 ほうほう、つまり桐乃がよがる姿を見て興奮したと? 「とんでもない兄妹だわ。前世はサキュパスに違いないわね」 ふいに携帯のコールがかかる。かけてきたのは…… 「よう、あやせか?」 「あ…ちゅぷ…お兄さん……ちゅる……今、お仕事終わりました……ちゅる……」 ふ…あやせのヤツ、我慢仕切れずに俺の声を聞きながら自分の指を舐めているらしい。 「おう、今から家こいよ。俺達しかいないからよ。たっぷり喉の奥に突っ込んでやるぜ」 「もう…んちゅ…お兄さんの変態は…ちゅ…治りませんね……んふ……」 「あ、そこにブリジット居るか? いるなら一緒に連れてこいよ」 ブリジットのふにふにした足の裏で亀頭を擦られるのは、あやせにイラマチオするのとはまた別の良さがあるのだ。 「兄貴ー、体操着持ってきたよ」 桐乃が俺の横に座る。ただしケツを向けて。 「でも先にあたしのケツマンコ使ってからじゃないと貸さないから」 これだよ。俺とセックスするようになってから、多少は従順になったとはいえ、相変わらずの我が侭っぷりである。 仕方ない、指四本まるまる飲み込むまでに広がった桐乃の菊穴を 俺のゴルディオンハンマーでぶち抜いて、綺麗なピンク色の腸肉を引っ張り出してやるとするか。 まあ、こんな感じなわけで、俺は誰の処女を奪うこともなく 清い交際をみんなと続けているわけだ。 何がかおかしい気がするんだが、一体何がおかしいんだろうな。 おわれ
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/9224.html
天使のいない12月 【てんしのいないじゅうにがつ】 ジャンル AVG 対応機種 Windows 98/Me/2000/XP 発売・開発元 Leaf 発売日 2003年9月26日 定価 8,800円(税別) レーティング アダルトゲーム 判定 賛否両論 ポイント 体の関係から始まるメインヒロイン終始重苦しい雰囲気が漂う余りの作風に評価は真っ二つ Leaf/AQUAPLUS作品 概要 ストーリー 主要登場人物 本作品の特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 願ったのは束の間の安らぎー ーーー叶ったのは永遠という贖罪 概要 『雫』『To Heart』等、数々の名作を手掛けたLeafから発売された アドベンチャー(一部ビジュアルノベル)ゲーム。 通常のAVGタイプの画面下部ウインドウと独白シーンでは、ビジュアルノベル形式の ハイブリッドを採用している画期的な作品。 東京開発室では初となる暗く、退廃的な作風となっており 20年近く経った現在でも評価は賛否両論に分かれてしまっている。 ストーリー 人間関係は軽く薄く小さくがモットーであり、 なにごとにもいい加減で投げ遣りな生活を送って いる主人公。 特にやかましい妹がいるせいもあって、女は面倒だと思っている。 そんな主人公と違い、友人は女の子との恋愛に時間を費やし、 肉体関係になることに至上の価値を求めているので、主人公に恋愛を勧めるのだが、 まるで聞く耳を持たない。 ところが、ある女の子とのささいな言い争いから、 なりゆきと興味本位でその場限りの関係を持ってしまう。 (※公式サイトより抜粋) 主要登場人物 + クリックで開閉 木田時紀(きだ ときのり)※デフォルトネーム 本作品の主人公(名前は変更可能)。家族は共働きの両親と年子の妹の4人構成。無気力かつ厭世的で、学校の屋上でタバコを吹かすのが日課。一方で、透子が拾ってきた子犬の面倒を見るなど優しい一面もある。妹の恵美梨に頼まれ、彼女が家事一切を引き受ける代わりに、人気のクリスマスケーキを確保するためケーキ屋のアルバイトを始める。 栗原透子(くりはら とうこ) 主人公のクラスメイト。 常に幼なじみでクラス委員のしのぶに引っ付いて行動している。 自分にまるで自信がなく、人の顔色ばかりうかがっている。 それでも誰かに必要とされたい、自分でも大丈夫なんだという想いがあり、なりゆきでしてしまった主人公との肉体関係に拠り所を求めてしまう。 榊しのぶ(さかき しのぶ) 透子の幼なじみでクラスメイト。 そしてクラス委員。 優等生であり責任感が強いことから、クラスメイトから頼られることが多い。 麻生明日菜(あそう あすな) 仏文科在学の女子大生。 主人公のバイトしているケーキ屋の先輩にあたる。 大人の女性として常に余裕のある姿勢を崩さないが、言動の多くはお茶目で小悪魔的。 須磨寺雪緒(すまでら ゆきお) 主人公と同じ学校に通う二年生。ケーキ屋のバイト店員。 上品で礼儀正しく、なにごとにも落ち着いている。 葉月真帆(はづき まほ) 主人公と同じ学校に通う一年生。 ラクロス部部員。主人公の友人の彼女。 性格は明るく元気。いささか落ち着きは足らない。 主人公のみWikipedia、ヒロインは公式サイトより抜粋 本作品の特徴 冬を特徴とした学園物であり、ヒロインの特徴やゲームの雰囲気こそ普通のアダルトゲームと大差ないように見えるのだがその実内面は今現在としても余り類を見ない作品となっており ヒロイン全体が(アダルトゲームのヒロインとしては)何かしらのマイナスな問題点を抱えている。 また、現実的な世界を表現したいという開発陣の要望の元、ヒロイン全体の髪色は黒を基調とした色になっている。 当時としても異質な作風であったためか、結果として今作の作風を引き継いだ後継作は発売されなかった。 今作のテーマは心と心の繋がり、どのルートでも体と体にはなるものの、凡そ普通のアダルトゲームとは似ても似つかわしくない展開で話が進んでいき、ヒロインの一人はまさかのHシーン無しでトゥルーエンドを迎える事が出来るという本作の特異性を表したような関係となっている。 評価点 システム 基本的にはオーソドックスなADV形式の為、ヒロインの心情や現在どのような状況なのかを視覚的に理解しやすいものとなっている。それに加えて、ビジュアルノベル形式も採用しているため、アダルトゲームにありがちな主人公の心理描写が足りていない、等の問題点は解決されている。 本作自体が難解なテーマをメインに捉えている事もあり、このハイブリッドシステム自体類を見ないものの為、この点は今現在に至っても高く評価されている。 グラフィック みつみ美里氏による可愛らしいCGは非常に評価が高い。流石に、今現在の美少女イラストには劣るものの当時一時代を築いた氏の作風は 今の時代にでも通用し、その可愛らしい作風と冬を題材にしつつも夕暮れの持つ薄暗さを全体的に引き出している背景は上品かつ独特な雰囲気へと調和する事に成功している。 音楽 Leafが作成していることもあり、全体的なクオリティは高い。OPからEDは勿論の事、作中で使われているBGMはピアノやギターをメインに使われていて全体的に物悲しく、上記の作風と合わせてプレイヤーをより感傷的に、憂鬱気味にさせてくれる。特に、作中で使用されているとあるギターの曲は須磨寺雪緒が弾いている曲という設定があるものの 作中の雰囲気を壊すことなく、ヒロインの魅力へと昇華させている。 声優関連のおまけ要素 全キャラの攻略が完了した後にヒロインの声優の本作の感想などを音声で録音したものがあり、他作品にはあまりない要素である。 賛否両論点 キャラクター描写 本作品の特徴でも捉えたが、今の視点で見ても余りにも個性的なキャラクター描写となっている。 + その描写について(ネタバレのため要注意!!) 栗原透子 メインヒロインに当る彼女だが、上でも述べた通り共通ルートで彼女とは肉体関係を結ぶことになる。 イラストでは伝わり辛いものの、作中では美人ではないらしく、本当に愛情はない…所謂交換条件として彼女が体を提示して主人公がそれを承諾した、という体で話が進んでいく。それ以外にも頭が悪く、要領も悪く、それもあってしのぶに過保護気味に囲われており、軽い自殺願望のようなものまで抱いている。 榊しのぶ 上の栗原透子を過保護気味に囲っている優等生であるが、本質は彼女自身が透子の弱さに依存しているという事がしのぶルートで明かされる。 彼女のルートは透子ルートから派生するものの、作中で彼女たちの性行為を見てしまいそれに感じてしまった自分を赦したい。しのぶのルートは一言で言えばカウンセリング、と表すことが出来る。 彼女のルートではリスカをしたり本物の自殺を匂わせたり、恐らく本作品で最も病的なヒロインともいえる。当然Hシーンもハッピー等ではなく、実用性皆無としか言えない仕上がりとなっている。 麻生明日菜 キャラクター紹介ではよくある先輩としか言えないものの、明日菜のルートではそれ自体が作り上げた嘘、だという事が提示させられる。 家庭環境は良いとは言えず、バイト先の家に入り浸っていたものの子供が生まれてからは寄り付かなくなり、寂しさを援助交際で紛らわせるもののそれでも望むものは与えられず、理想の人間を演じて奪う側になったという事が説明される。 性格は悪いと言えるものの、彼女の境遇を考えると致し方ない点もある。 葉月真帆 主人公の親友(霜村功)の彼女であり、上で述べたHシーン無しでトゥルーを迎えることが出来るのは真帆の事。 体を求める功と心の繋がりを求めたい真帆との間に入っていくうちにお互いに惹かれていくといった展開になる。 本作品では恐らく、最も普通のヒロインである。 須磨寺雪緒 今尚一部で話題に上がるヒロインであり、本作というゲームを最も表している人物。 外面だけは良いものの、内面は電波ヒロインと言って差し支えない程に壊れており彼女が自殺未遂する所を見てしまった所から彼女のルートに入ることになる。 主人公も死にたい、と言っていたものの規格外の人物に出会ったことにより、彼までが壊れていくようになる。物語後半、飼い犬が死んだことにより人を遠ざけるようになったという、過去が明かされる。 シナリオ 上のキャラクター描写と密接に関わりあっているため、未読の方は上記一読の事。 + 今尚賛否分かれるシナリオ(ネタバレのため要注意!!) ほぼ全てのルートで心と体の繋がり、という点を密接に表現している。全体的に体の関係は早いものの、関係を結んだからこそお互いが好きか?というテーマでどのルートも話が展開されていく。 アダルトゲームでしか表現できないシナリオ、と言ってもよくその点も踏まえて他に類を見ない為に評価が真っ二つに割れている。 詳しくは各ルートに細かく記載させて頂く。 栗原透子ルート 体の関係からお互いを本気で好きになる、という所謂王道展開。 本作のED中では珍しく希望に溢れており、それでいてテーマをブレる事無く伝えているために全てのルートの中で最も万人受けするルート。 彼女自身も主人公と出会ったことにより、前向きに変わっていき唯一しのぶの過保護染みた境遇から彼女の意思で脱することになる。 なお、唯一透子だけどのルートでも密接に関わることになり、他のルートでは酷い終わり方を迎えているものの、その点についてはそれぞれのルートで記載する事とする。 榊しのぶルート 上記の透子ルートから分岐(共通ではなく、恋人に近い状態になった状態から分岐する)する事によりしのぶルートに入ることになる。 キャラ描写で軽く触れたものの、しのぶルートは凡そ鬱展開と言っていい内容で展開されていきお互いの間に恋愛感情と言ったものは最後まで芽生えることはない。 主人公は透子が好きなものの言い訳しようがない程に彼女に構うことになり、しのぶはしのぶで透子を汚した主人公を嫌っているものの、犯して貰う事で罪を償うといった形で展開されていく。 結果として透子にバレてしまい、破局。ただ、お互いに透子が好きという気持ちは変わらず、共依存のような形で終わることになる。透子は友人二人を無くし、主人公たち二人も救いはない…本作が鬱ゲーと呼ばれる所以は恐らく、このルートにあるといっても差し支えない。 麻生明日菜ルート 前半は所謂王道展開のようなものの、後半から一転するルート。このルートは本物の好きとは何か、というようなテーマで話が展開されていく。 主人公が好きだったものは演じていた明日菜でどうすれば彼女を救えるか悪戦苦闘する事になる。最後は本当の自分を愛してくれるようになりハッピーエンド…ではなく、結局主人公は正解を見つけられず、明日菜側も欲しいものは与えられなかったという形で終わる。 体は好きだが心までは愛せない…他のルートとは違い、主人公と透子の関係をそのまま裏返したような話。このルートの透子は明日菜の代わりとしてしか見ない主人公に愛想を尽かして終わるという、唯一主人公に反旗を翻すルート。 葉月真帆ルート 序盤はお互いの仲介をするものの、いずれ真帆と功の心が完全に離れてしまい、真帆は主人公と一緒にいる事にするルート。 所謂寝取りなものの、そんな単純な話ではなく、好きだからこそHをしなくてはならないか?というのがこのルートのテーマである。このルートでは主に主人公と真帆、主人公と透子、の二つの関係が主軸に話が展開されていく。 最終的に主人公は本当に好きだからこそ、透子と別れる選択肢をしたものの…主人公と真帆の間には本物の恋愛感情は沸かず、お互いに本気で好きな人と分かりあう事をしなかった、という示唆が最後にされる。 透子も含めた四人は最後まで最も大切な人に心が届かない、切ない関係で話は終了する。 須磨寺雪緒ルート 上で述べたように序盤から死の臭気に触れてしまい、段々と主人公の心が壊れてしまい最後に飛び降りといった形で話が終了する。今尚語られるだけあり、上記のルートと比較しても特筆する程に異質な雰囲気で話が展開される。 終盤、犬が亡くなった事により人と親密な関係になる事を恐れていた、と知った主人公は自分にも重なると考え、生きてても地獄という事で飛び降りを決意する。 常に死、という考えだけが通じ合ったものの、最後の最後でお互いの心を理解し、奇跡的に助かり今後は何があっても生きていこう、と決意するEND。 全てのルートの中で雰囲気、BGM、主人公の厭世的な考えが調和して、異常な雰囲気を保ち続けるもののどこか美しく、儚さを終始漂わせることに成功している。 透子は主人公に強姦のような事をされ、閉じこもってしまうもののまだ救いはある終わり方である。 このように、全てのルートにおいて一筋縄で行くシナリオは存在せず、ほぼどれにおいても哲学のような難しいテーマをメインに据えている。 上記の内容を人の弱さに踏み込んだ傑作、と評価する人もいれば学生の下らない悩み、と一掃して凡作と表現する人もおり、評価はまちまちである。 また、上記のシナリオを評価する人の中にも、このようにヒロイン全てがダウナー系は重すぎる、と捉える人も存在し、今作の賛否両論は人によって線引きが難しいとも言うことができる。 更に付け加えると、どのルートも全て打ち切りともとれる、明確な答えは明示されてないままに話は終了しこちらはそのような意図として作られている(*1)ものの、全体的に短いという点もありせめてトゥルー位は綺麗な終わり方をしてほしかった、という声もある。 問題点 プレイ時間の短さ 全体的に共通ルートは三時間もあれば読み終わってしまうし、個人ルートは2時間…早い人では1時間程度で読み終わってしまう程度である。12月のひと時をテーマとしているとは言え、流石にフルプライスでこれは短すぎると言っても良い。 実用性の薄さ 体の関係から基本的に始まるので、Hシーンはあるものの相思相愛といったシーンはあまり存在しない。 特にしのぶ、真帆はきちんとしたHシーンは存在しなく、どちらかというと現実逃避の為の行為なのでこのヒロインを気に入った人からすれば肩透かしを食らった気分になる。作中のCGのクオリティは決して低くはないのだが、だからこそ余計に惜しまれる。 分かり辛い選択肢 基本的に分岐は分かり辛く、主人公の独特な思考も相まって選択肢は難解とも言える。 好感度のようなものではなく、様々な選択肢から正解のルートを引き当てていくのだが時にはどう見ても間違いの選択肢を選ばないとそのキャラのルートに入ることはできない。 総評 心と心の繋がり、というアダルトゲームでしか表現できないテーマを極限まで掘り下げた意欲作。 キャッチコピーに偽りなく、ハッピーエンドとは言い難いし鬱々とした終わり方をするルートもあるものの、その普遍的なテーマは今の時代でも決して見劣りはしない。 全体的に短く、レビューも真っ二つなもののそれを踏まえてなお他に類似性を見ないシナリオは刺さる人からすればこれ以上溜らない程の良作に化ける可能性を秘めている。 以下の理由から、簡単に手出しできるものと言えなくなっていくものの、運良く機会ができたのであれば是非プレイしてこの目でその衝撃を感じ取って頂きたい。 余談 プレミア化 一時期DL販売がされており、価格は下落したものの、2022年現在DL販売が停止(*2)されており、再び価格が高騰してしまっている。 以前から値上がりしていたこともあり、移植やアニメを望む声は多いのだが内容的にどうしても性行為がないと成り立たない作品の為、嘗て社内で声があがったものの却下された。今現在はそれに加えてLeafがPCゲームから撤退している事もあり、今後の再販等も絶望的とされている。
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/1753.html
幕間 エルマさんのいない水曜日 36 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/09/03(土) 16 19 15.66 ID VSw892kw0 幕間 エルマさんのいない水曜日 俺「つまり、エントロピーっていうのは、化学変化の方向を調べるのにとても有用な値であって……」 エイラ「え~……訳分かんねぇヨ…。」 ニパ「俺さん、もうちょっと分かりやすく説明して…。」 俺「あ、ああスマン…。エントロピーっていうものは系の乱雑さを表す値だ。」 ニパ「え……………え…?」 エイラ「ああもう…エルマ先輩だったらもっと上手く説明してくれるのに…。」 ニパ「俺さん教え方下手…。」 俺「うぐっ……。」 エイラ「エルマ先輩を出セ、エルマ先輩を!」 俺「し、仕方ないだろうがっ! レイヴォネン少佐は用事でヘルシンキに行かれているんだから!」 ニパ「でも俺さんの説明じゃ全然分からないし…。」 エイラ「しょうがないから今日の教練は中止ダナ。」 俺「ま、待てって! う~ん………あっそうだ。」 ニパ「どうしたの?」 37 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/09/03(土) 16 20 20.95 ID VSw892kw0 俺「ウィンド。」 ハンナ「はい?」 俺「お前、熱力学は大体習ってたよな? ちょっと教鞭取ってみろ。」 ハンナ「え?」 ハンナ「孤立系の自発変化において、エントロピー変化⊿Sは0より大きい…つまり、エントロピーは増加します。 このことから、系のエントロピーを測定することで、孤立系でのある変化が自発変化であるかを調べることが出来ます。」 ニパ「ふむふむ。」 エイラ「なるほど、そういうものなのカ。」 俺「うん、今日はこれくらいにしておこう。お疲れ、ウィンド。」 ハンナ「ふぅ……人に何かを教えるのって、思ったよりも難しいですね。」 エイラ「でも、俺より断然上手かったゾ!」 ニパ「上手かった!」 ハンナ「ありがと。」ニコッ 38 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/09/03(土) 16 22 05.19 ID VSw892kw0 俺「お前らなぁ…。でも、初めてであれだけ出来たら上等だ。やっぱりお前はこういうの向いてんのかもな。」 エイラ「ハッセは面倒見イイよナ。姿は似ているのに、ニパとは大違いダナ。」イヒヒ ニパ「ムムム…。」 俺「お前らはそろそろ新人の世話をしないといけなくなるだろうからな。ウィンドと……そこでカードを弄っているニッシネン。」 ラウラ「えっ……ああ。」 俺「お前なぁ……もう習ったことだから退屈なのは分かるけど、教練中に遊ぶのはやめろよ…。」 ラウラ「いや…あんまり俺さんの話が退屈すぎてな。」 俺「相変わらずお前は思ったことをハッキリと……」 エイラ「なー…俺ってハッセとラプラに妙に甘くないカ?」 ニパ「今だって私達だったら思いっきり怒鳴りつけてるのに…。」 俺「俺にコイツらを怒鳴りつけることなんて出来ないよ。正直、お前らも俺よりもコイツらの言う事を信じろよ?」 ラウラ「俺さん、いくらなんでもそんなことは…」 俺「謙遜すんな。お前らは俺よりも技術も才能もある。経験だって充分。人としての器の大きさも俺なんかとは段違いだ。 もう立派なエースで、立派な先輩ウィッチだよ。」 ハンナ「そう…なんですかね?」 俺「うん、そうだよ。もう充分人の上に立てる人間だ。」 39 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/09/03(土) 16 25 47.12 ID VSw892kw0 ラウラ「人の上に立つ……か。実感が湧かないな。」 俺「だろ? 今回のこのL中隊のお前らにとっての存在意義はそれなんだよ。 人の上に立つっていうことを、レイヴォネン少佐を見て学ぶ。上層部の狙いはそれなんだろうよ。」 ラウラ「レイヴォネン少佐と……俺さんだろ?」 俺「俺は人の上に立てるような人間じゃない。せいぜい偉ぶってまだ芽が出ていない種を焚きつけてやることくらいしか出来ないよ。」 ラウラ「そんなことはないと思うが…。」 ハンナ「俺曹長だって、この隊をエルマ隊長とは別の形で引っ張ってくれていますよ。」ニコッ 俺「そうか……そう言ってもらえると素直にうれしいな。」 ラウラ「私も……俺さんやエルマ隊長みたいに………ならないといけないのか。」 俺「んにゃ。誰かみたいになる必要はないんだよ。レイヴォネン少佐にはレイヴォネン少佐の、俺には俺の、お前らにはお前らのやり方で人を引っ張っていけばいい。 お前らがそれを見つけられるようにするのが、俺とレイヴォネン少佐の仕事だよ。」 ハンナ「私にあったやり方かぁ…。」 おわり
https://w.atwiki.jp/pokegaisyosetu/pages/62.html
俺はしがないサラリーマン「小次郎」 昔のあだ名はラーメンマンだった程のラーメン好きだ 今日は、近所に出来た新しいラーメン屋にでも行こうと思う。 そこにある、「雪降りラーメン」というものは絶品らしい。 それが俺の目当てなのである。 よし、店の前まで来たぞ……それはいいものの 行列が出来ている 流石だな… 全員「雪降りラーメン」目当てと見た。 しかし、長いな行列だな… あと二時間は待たなければならないのではなかろうか。 …能力(チカラ)を使うしかないか… 邪気眼がうずくぜ 「行くぞ!」 俺は大きな声でこう言った。 並んでる人達がこちらを見る。 やや恥ずかしいのである。 「開眼!!」 俺の第三の眼が光を放ちながら開かれる…! そして俺はこう念じた 『時よ止まれ』 すると、行列に並んでいる人達は一斉に家に帰っていった。 ミッションコンプリートだ 俺は店に入ってから驚きを隠せなかった。 予期せぬ事態を目の当たりにしたのである。 「な…に…!?」 店には店員が一人しかいないのである。 「いらっしゃいませー!お一人様ですか?」 すごい快活な人だ。 「は、はい。…なぜ一人なのですか?」 俺は思わず聞いてしまった。 「うちは個人経営なんですよー」 「なるほど」 じゃあ、一人であの行列を毎日相手にしていたということか…!? なんという… 「えーと…。ご注文は何になさいますか?」 そうだ。 そんなことはどうでもいい。 俺の今日の目的は… 「どしゃぶりラーメン一つ」 「は?」 「あ、雪降りラーメンでした」 危ない危ない 肝心な所でミスしちゃったよ。 …でも、これでやっと食べれるのかぁ… ジュルリと、よだれが落ちそうになった。 というか落ちた。 ん、なんだ? 丼をもって店員がこちらに向かってくる。 まだ3分も経ってないぞ? 何か不都合なことでもあったんだな。 そうだそうだ。 もし出来てたら大声で「はやっ!!」って言ってやろう 「お待たせしましたー」 「はやっ!!」 こ、これが… 「雪降りラーメン」… 真っ白だ… ドロドロの白い液体が麺の上に乗っている。 そしてこの鼻をつく匂い… イカのような匂いだ… …って 「これラーメンじゃなくてザーメンやないか−−−い!」 〜完〜 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/syusyu213/pages/27.html
【倉本 優華】 高2の女の子。 春に屋上から飛び降りる。 性格は明るく、運動も勉強もそこそこできるクラスの人気者だった。 運動・・・そこそこ 勉強・・・努力家だけど30番台ほど。 趣味 歌っていること。かなり上手い。 作詞作曲。 好きな物 青い花 嫌いなもの 血(見るだけで気絶しかける。) 【永沢 木乃香】 中2の女の子。 真也の妹。 二年前、事件の後心を閉ざす。 その後、再び心を開くのだが、時折何も感じなくなる。 真也のいない二年の間は、親戚もあまりいないので、霧島家にいる。(現在も居候中) 頑張るけど、失敗ばっかりで、良く真也にフォローされていた。 勉強・・・頑張ってます。 運動・・・運チ(ぁ 趣味 料理(沙紀曰くそこそこできるらしいが・・・。) 好きな物 苺 嫌いなもの 時折ショック状態になるので、その引き金になりそうなものは極力遠ざけている。 【永沢 真也】 高2. 過去の事件の後失踪。 話はその2年後の話である。 彼は片手に拳銃を持って帰ってくる。 失踪中スカウトされた組織で生活費を稼いでいる。 二年間スパイのような仕事をし、現在は二年の長期休暇に近い待機状態。 少し暗めの性格で、勉強もスポーツもできて、良く妹と優華の勉強を教えていたりした。 ちなみに部活はやっていない。 愛銃はベレッタ。 運動・・・前述のとおり、強いて言うなら短距離が苦手と言うか。 勉強・・・それなりにできる。が、社会は危うい。 趣味 読書(黒いブックカバーをつけてるのでどういうジャンルか不明) 楽器の演奏(フルート) 好きな物 空を見てると落ち着くらしい。 嫌いなもの 屋上(過去を思い出すらしい。) 【上司】 真也の上司らしき人物。 電話越しでしか知らないのに、まるでその場にいるかのように錯覚してしまう。 ちなみにタバコとコルト・アナコンダが手元にあれば常に上機嫌。 【霧島 沙紀】 木乃香の友人。 ある事実を知っていて、 更に真也に恨みを持っている。 真也がいない間、木乃香をずっと励まし続けていた。 そして神社の武装巫女で、小太刀と無音式手中射撃術 (裏世界では、隠射(いんしゃ)と呼ばれる、)を使い、裏世界からご神体を守っている。 【広瀬 裕】 失踪前の真也の友人。 帰ってきた後も、真也を支え続けた。 かなり明るい性格。 現時点でこれぐらい。
https://w.atwiki.jp/ohayousex/pages/421.html
私の名前は仏野観琴。野球部員のピッチャーエースだ。 何故だかここ数日の記憶がなかったり、他の野球部員が全員死亡していたりしたが、別段気にすることもなく、平和な日常を送っている。 だが、そんな平和な日常に一つのビッグニュースが舞い込んできた。 「え?野球部はもうない?嘘だろう?」 「お前大丈夫か?ここ数日目から発光している仏野を見たとかいう噂が立ってたりさぁ…最近、らしくないよ……」 今日知り合った名前も顔も知らないヤツに、らしくないよと言われたので、私は帰り道そいつに向かって電柱を投げておいた。 結果、見事に突き刺さった。彼の息の根が止まったので私は満足した。 …そう、私の異能力は『ものを投げる程度の能力』。野球部に入る前は投擲魔などと呼ばれていた。 私に投げられないものは存在してはならない。 第二話『ただの投球とビーム』 夕焼けが綺麗だ。いや、それは今どうでもいい。記憶が覚束ない。思い出してみよう。昔のことを…… 「ピッチャー、仏野観琴!!!!!!!!!!」 「はーい!よし、いくずぇー」 私が軽い気持ちでボールを投げると、異能もまだ芽生えていない将来有望な野球部員たちは瞬く間に絶命していった。 野球部員達はそのうち私を、人殺しと蔑むようになった。私は、ただ…ものが投げたいだけなのに。 こうして、野球部員達の嫌がらせはエスカレートしていった。 最初は、中身が50kgもの鉄球で出来た野球ボール。だが私はなんなく投げて、野球部員を一人殺しただけだった。 それがだんだんエスカレートして、遂にはサイズ直径1m。重さ600トンの隕石を投げろと言われる始末。 それで…それでぇ……えーと…………あ!!!!!わかったぞ!!!!!! 「これ以上はどう頑張っても記憶を遡れないということがな!!!!!!!!!!!」 いいさ。私は過去に囚われない女。過去に投げた人間関係は数知れない。 どうだっていいことだ。過去など… 「おい!!!!貴様、投擲魔だな!!!!!!!!!!!!いい投げっぷりだ!!!!!!!!」 「…………」 「俺と勝負だ!ルールはキャッチボール!!!!!!!!!!!!」 「あんた誰?」 「俺か?俺は…野球少年、孤高の杉並洋一(SUGINAMI YOUICHI)!とでも名乗っておこうか」 聞いたことがない名前だ…つい最近夢幻学園へきたか、もしくは異能力が発現したばかりの少年だ… 「いいぞー…ルールはキャッチボール…だったよな…?ま、せいぜい楽しませてよ…」 私はボールを深く握りしめた。 『どうせコイツも私とキャッチボールなどできはしない』。これは私の精神の奥深くに根付いた『当然事』。 そして、『どうせコイツも私のボールを受けて死ぬに決まってる』。これも、使い古しすぎて簡略化された私の思考回路だった。 「じゃあ、かるーく一発……死ねやァ!!!!!!!!!!!!!!」 私の投げたボール!それはまさしく魔球!最初はたったのマッハ1!だがその飛距離を1cm伸ばすごとにマッハが1ずつ上がっていく!!!! これぞ、私のものを投げる能力の副産物!!!!対象物が小さければ小さいほど肥大化する能力!!!!!!!!!慣性を強化させる能力だァァァァ!!!!!!!!!!!!コイツを受けきった者はいない!!!! 「効くかァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「!?!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!??!?!?!?!?!?!?」 次の瞬間!!!!!!!!!!! 突如ヤツの体が輝き始めた!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ヤツがその全輝きをその手に集中させるのに約0.01秒!!!! 私が投げつけたボールは、ヤツの手中の中に────── 「オガァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!ッッッッッッッッッッゲホッゲホォォッ!!!」 吐血しながらも収まった!!!!!! 「グッヘヘエ…次は…俺の番だぜ……覚悟はできたか…?投擲魔……!!!!!」 「!!!!!!!!!!!!!投擲魔として!!!相手の投擲を受けきってみせる程度ォォ!!!」 「ウオオオオオオオオオオオオラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!」 ────!? ヤツが投げた野球ボールはまるで ビーム!!!! その速度、投擲直後からマッハ440 つーか、ヤツの発射したものは野球ボールではなかった 野球ボールは最初の段階でビームに焼き切られ、実質単なるビームだったのである 「フハハ!!!!ビームは投げられない!!!!!!!グワァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」 ………目が覚めると、そこは知らない天井だった。どうやら病院らしいそこで私は考えていた。 何故だろう。ここ三日の記憶がない。 思い出そうとしても、隕石だかビームだか地球人殺すだかで、記憶が混沌としていて正体がつかめな……… 「仏野観琴さァァァァァァん!!!!お友達が面会に来ましたよォォォォォン!!!!!」 「…あれぇ?私に友達なんていないんだけどな」 「何言ってやがる…どうやら、記憶喪失ってのは本当らしいな」 私の目の前に来た異様なテンションの男は、見覚えのない…男…のはずだった。 「何故だろう。お前を見てるとなんだか……とても……痛い思いをしたような…」 「──それは、多分俺が君の処女を奪ったからだろうね」 「え?」 「俺と君は彼女と彼氏の関係だった。思い出さないか?俺と君の、ビームと隕石の飛び交う楽しい日々を。」 ビームと……隕石………!?!?!?!?!? また、その二つの単語…!!!わからない……っ!!何も……思い出せない……っ!!!! 「俺と君は一心同体だった。だが…記憶がなくなってしまったなら仕方ない。自己紹介から始めよう。 俺は……野球少年、孤高の杉並洋一!!!!!!!!」 「思い出した」 「マジかよ…………」 私は起き上がると、取り敢えず今まで今まで寝そべっていたベッドを投擲しておいた。 流石の私もベッドはマッハで投げ付けられなかったが、流石のビーム使いもベッドはキャッチできなかった。 それなりの速度で投げられたベッドと、病院の壁に挟まれたビーム使いは壁を突き破り全治半年の大怪我を負ったのだった。 「………杉並洋一、忘れるはずがないだろ。私のボールを初めて受け止めた…お前の名前をさ……」 そして半年後に私と杉並洋一は、なんとなく『新野球部』を設立した。二人でプロ野球選手を目指すためである。 かくして。 新人をただの投球とビームで絶命させまくる魔の部活が誕生し、奇しくも健全な野球男児余我和仁の予感は当たっており結果として彼は命拾いをしたわけだがそれはまた別の話。 終わり方まで投げっぱなしEND
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/28744.html
あのこたちのいないそら【登録タグ あ オカメP 初音ミク 曲 目白皐月】 作詞:目白皐月 作曲:オカメP 編曲:オカメP 唄:初音ミク 曲紹介 オカメP の64作目。 この世から絶滅してしまった、リョコウバトをモチーフにした楽曲。 この歌詞を、書くきっかけになった本を書いたロバート・シルヴァーバーグ氏に捧げます。(作詞者コメ転載) 歌詞を 目白皐月氏 が、イラストを 酸素氏 が手掛ける。 歌詞 昔々空を埋め尽くすほど たくさんのリョコウバトが飛んでいました リョコウバトは群れとなり旅をする 広大な大陸の森から森へと 一斉に飛べば空は暗く変わる あんなにいたのにもうどこにもいない 大陸にやってきた人たちが 次々と鳥たちを狩って行った 瞬く間に鳩の群れは減って行き 空が暗くなることもなくなっていく それを気にした人はごくごくわずか どうせどこかにたくさんいるだろうと 愚かな人たちは知らなかった 一年に一つしか卵を産まないということ ようやく人はおかしいと気づいたよ けれどももう手の施しようなんてない 空からリョコウバトは姿を消した 籠で生まれた一羽だけを残して 籠のなかあの子は問いかけてた どうしてわたしは一人きりなのと 最後の一羽はずっと籠のなかで 仲間と飛ぶこと知らずに死にました もしも鳥にも楽園があるのなら あの子を他の子たちと飛ばせてあげて 誰にも邪魔されない広い空 全部全部あの子たちだけのものにしてあげて コメント 追加おつ! -- 名無しさん (2014-03-21 07 08 12) ロバート・シルヴァーグって誰? とりえずこの曲好きです。 -- 紅 (2014-08-06 21 05 22) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/3438.html
概要 【小説ドラゴンクエスト】で用いられる主人公の名前。 ⅣとⅥを除いて、同時期に発売された「CDシアター・ドラゴンクエスト」にも共通して用いられる。 公式の「アルス」を採用したⅦを除き、恐らくは作者である高屋敷、久美両氏の独断で名づけられたものと思われる。 小説を語るとき以外は滅多に使われないこれらの名前だが、Ⅴの「リュカ」だけは何故か妙に定着しており、 二次創作や普通の話題の中でもしばしばこの名で呼ばれることがある。 ただし、小説・CDシアターの設定に好き嫌いがあったり、相手が知らない可能性もあったりすので、話題に出す場合は注意して使うのが無難。 小説・CDシアターの主人公名一覧 作品 主人公名 備考 DQⅠ アレフ DQⅡ アレン 王子:コナン王女:セリア(小説)/ナナ(CD)王子の妹:マリナ(小説) DQⅢ アレル ※小説・CDとも仲間がおり、名前も付いている(共通ではない)。戦士:クリス(♀・小説)/ステラ(♀・CD)僧侶:モハレ(♂・小説)/ライド(♂・CD)魔法使い:リザ(♀・小説)/マリス(♀・CD)武闘家:カーン(♂・小説)商人:サバロ(♂・小説)/ダムス(♂・CD)遊び人:ロザン(♂・小説)※小説版のメインパーティはアレル、クリス、モハレ、リザ DQⅣ ユーリル(小説)レイ(CD) ※小説版では、トルネコの息子の名は「ポポロ」ではなく「リトル」 DQⅤ リュカ 男の子:ティミー女の子:ポピーキラーパンサー:プックル※結婚相手はビアンカ DQⅥ イザorイーザ(小説)ウィル(CD) ※小説版の主人公の実妹の名は「セーラ」 DQⅦ アルス ※これのみデフォ名と共通 ※特記なき場合は小説・CD共通の設定。 ※ⅢおよびⅣの主人公の性別は男。 ※ⅦのCDシアターと、Ⅷ以降の作品の小説・CDシアターは制作されていない。 関連項目 【デフォルトネーム】
https://w.atwiki.jp/kingofbraves/pages/56.html
小説 作者が自らの構想を元に、架空の世界を舞台に、架空の人物を文章で活動させるもの。 平たく言えばハリーポッターやら、三国志などである。 このチームのメンバーも書いてる人がいる。 有名なのはDIVA。デスノの続編みたいな素敵小説も書いていたりする。 話がキッチリしているので面白い。 新作があるが、社会人ゆえに更新が遅いのが難点と言えば難点。 ひっそりとリーダーも書いていたりする。 こちらは限りなくクオリティが低いが。 暇人なのに更新も遅い。面倒という理由で。 遊戯王だったりファンタジーだったり。 なお、カーネルという究極兵器が存在する。 作品 ドライバー 赤壁の戦い こちら執行部 あの空で DIVA 小説 オホーツクに消ゆ 小説 オホーツクに消ゆ 二話 小説 オホーツクに消ゆ 三話